滝口寺

13c頃 念仏房良鎮創建
 

浄土宗
 

本尊 阿弥陀如来

 

 もとは、往生院三宝寺と呼ばれていたお寺。明治維新の折廃寺になるが、祇王寺の再建とともに再建。国文学者であり歌人の佐々木信綱博士により「滝口寺」の名が付けられる。
 平家物語にも出てくる、滝口入道と横笛に縁のお寺。
 平重盛に仕えていた、斉藤時頼。ある日、花見の宴の折に、建礼門院つきの女官・横笛に恋し、やがて恋人となる。
 そのことを耳にした時頼の父が身分違いの恋に反対。それを期に時頼は仏門に入る決心をし、滝口寺の前身である往生院で出家し、滝口入道と改める。
 それを伝え聞いた横笛は、滝口入道を尋ねてあちらこちらと捜し歩き、ようやく往生院を捜し当てる。しかし、滝口入道は、心を鬼にし、「そのような者はいない」と他の僧に言わせ、追い返す。
 その後、滝口入道は高野へ入り、横笛も奈良の法華寺で出家し、まもなく儚くなる。それを聞いた滝口入道は、ますます仏道修行に励み、高野の聖といわれる高僧となった。
 …そんな悲恋の舞台となった滝口寺。祇王寺のすぐ隣、石段を数段登ったところにあり、ひっそりとしたたたずまい。
 入り口を入ったすぐのところに、新田義貞の首塚がある。参道脇には、横笛が指を切った血でもって歌を書いたといわれる石もある。
 本堂内には、滝口入道と横笛の像が祀られている。
 入道と横笛の悲恋をしのびつつ、しっとりと訪れたい。