八坂庚申堂

平安時代 浄蔵貴所(891~964年)開基
 

密教系(不詳)
 

本尊 青面金剛

 

 八坂の塔のすぐそばに位置する。
 大阪四天王寺庚申堂・東京入谷庚申堂(現在はない)とともに日本三庚申のひとつ。日本最初の庚申信仰の霊場といわれる。
 庚申とは、人の体内に三尸(さんし)といわれる虫がいて、寝ている間にその人の悪行を天帝に報告に行くために体から抜け出すとされている(天帝は寿命を司り、悪行報告により寿命を短くする)のが庚申(かのえさる)の日である。そこで、虫を抜け出させないようにするために、寝ずに徹夜することを「庚申待ち」という。
 この三尸の虫を喰らってくれるのが、青面金剛。このご本尊は、秦河勝の一族の守り本尊として祀られていた。
 庚申待ちのことは、平安時代の文学にも度々登場するので、当時はよく行われていた行事だったことがうかがえる。現在ではそういった風習あまり行われなくなっているけれど…。
 門の上には三猿(見ざる・言わざる・聞かざる)がお出迎え。いたる所に三猿のモチーフがある。猿は青面金剛のお遣いだから。御守りもお猿モチーフがたくさん。
 境内へ入るとまず目に飛び込んでくるのが、「くくり猿」と呼ばれる色とりどりのさがりもの。
 この「くくり猿」、奈良では「さるぼぼ」とも呼ばれているものと同じかしらと思うのだけれど、猿を人間の欲に見立てて、手足を縛り欲望が動かないようにしている御守り。
 可愛い姿とはうらはらな理由…。縛られているのか…(^^;)。
 こぢんまりな境内ながら、くくり猿の鮮やかさは華やかで良い。