聖護院

1090年 増誉(ぞうよ) 開基
 

本山修験宗総本山
 

本尊 不動明王

 

 白河上皇が熊野三山を参詣するに当たり、増誉大僧正が先達を務めた功績により「聖体護持」から2字を取り、聖護院という寺を賜ったのが始まり。
 その後、戦や火災で移転をしたが、1676年、当初に建てられた現在の地へ遷る。
 明治期までは、一帯に「聖護院の森」と呼ばれる森が広がっていたため、「森御殿」とも呼ばれる。
 こちらの拝観には事前の予約が必要で、当日飛び込み…ということができないのだが、ぜひ一度参拝したかったのだ。
 事前にはがきで希望日等を記載したものを送付すると、拝観可能かどうかのお答えが返ってくる。で、とうとう参拝!
 10時(ちょっと迷って少し遅れたけれど…(>_<))に受け付けを済ませると、お寺のお坊様が寺内を解説しつつ案内して下さるのだ。この日は友人と二人だけのなんと貸し切り状態!めちゃくちゃ暑い日だったが、テンションが上がる(笑)。
 初めに、なぜこのお寺に?と尋ねられて、不純な動機ですみません…と思いつつ、市松模様の砂紋が描かれたお庭が拝見したかった旨を伝える。と、「ああ、今は違う紋なんです。」とのご回答…。あぎゃあ。
 熊野三山の本地仏についての説明や、信仰について、御仏の表情の意味、仏の御前に供えられた蓮の花の意味などなど、結構“目からうろこ”なお話をうかがえた。しかも、内部のお写真も御仏はNGだけど、撮ってもよいですよといわれ、心の中で、狂喜乱舞(笑)。
 そして、宸殿もとても素敵。襖絵ももちろんのこと、御仏もいらっしゃるし、上段の間がある場所も美しい。しかもなんと、天皇の御座所の近くまで上げていただけたのだ。天皇目線で眺めてみると、なんだか違った感じに。普通、立ち入り禁止だと思うのだが…。そして、こちらに面しているのが、私が一番拝見したかった枯山水のお庭。
 事前のお言葉通り、砂紋は市松模様ではなかった…。ちょと残念だが、それでも十分美しい。市松模様の砂紋は、夏の時期は暑すぎて、線が引けないそうだ。やはり、大変な集中力が必要なのである。市松の砂紋を引くのに、だいたい、慣れた方でも4時間、長ければ1日かかるそうだ。ひあ~。
 実はこのお庭、映画「大奥(男女逆転のやつね)」の最後のほうの場面、柴崎コウちゃんが暇を出すためにお白洲に大奥の男性を並べる場面。ここで使われたのが、このお庭!お寺の中のお部屋での撮影もあったようだ。その情報にちょっと興奮(笑)。
 そして、次に書院へ移動。このお部屋が後水尾天皇の手掛けられたお部屋ということで、いたるところにこだわりが見受けられる。特に、欄間のモダンさは、離宮のデザインにつながるものがある(後水尾天皇は、修学院離宮を造営)。
 床の間が二つあるのも、この部屋の特徴で、上座を設けず、身分に関わることなく…という考えの表れらしい。
普段、お寺の参拝においては解説なしでお参りしているので、見過ごしがちなことも多くあるけれど、しっかりとひとつひとつの意味を知ることにより、より深い味わい…というのだろうか、が発見・体感できる。「気づき」を多くいただけたお寺だ。それに、お坊様みずからご説明下さるって…他にはない!ご法話をお伺いすることはあるけれど、ずっとマンツーマンで解説くださるって、とってもすごい!
 実は訪れた日、本来ならば大峰奥駈の修行の期間だったのだが、先日の台風の影響で入山ができなくなったようで、ご案内して下さったお坊様も、入山できなくなったので、ここにいるんですとおっしゃっていた。
 拝観の途中で、法螺貝の音色が聞こえてきた。そして、寺紋にも法螺貝が見られる。修験道のお寺なのだと実感した。
 普通のお寺のように、思い立って参拝~、というお寺ではないが、いつもの拝観にちょっと飽きた方、そして特に修験道に興味がある方は、ぜひ予約をしてでもお参りを!
 なお、たまに特別公開されていることもあるようだ。でも、やはり、予約をしてお参りすることを強くお勧めします!